母乳育児が良いとされてはいるものの、母乳が思うように出ないママや、体調のすぐれない時、また、お出かけの際にも便利な粉ミルクは、ママの強い味方です。
ドラッグストアなどでも手軽に手に入る粉ミルクですが、赤ちゃんはどんな粉ミルクでも飲むのでしょうか?
そこで今回は、
・赤ちゃんのミルクの適量は?
・粉ミルクの作り方が知りたい
・赤ちゃんに粉ミルクを飲ませるメリットは何?
といった方に、粉ミルクを赤ちゃんに飲ませる場合、調乳する際の注意点、粉ミルクの月齢別の必要量などについて詳しくご紹介します。
優れものの国産粉ミルク
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日本国内で販売されている国産の粉ミルクは、どの製品も研究開発が進み、母乳により近い成分になっているものが多くなっています。
日本国内では、いくつかのメーカーから粉ミルクが販売されており、同じメーカーの中でも、一般授乳用やアレルギー対応用、フォローアップミルクなどの種類があります。
またそれぞれに、顆粒タイプやキューブ型固形タイプ、スティックタイプなど、いくつかの種類が製造されています。さらに、メーカーによっても価格などに多少の差があります。
粉ミルクは、かけがえのない赤ちゃんの健やかな成長を、母乳の代わりとして支える大切な栄養分です。
厚生労働省では、「母乳及び乳幼児用調製粉乳の成分組成と表示の許可基準」として、粉ミルクの基本となる成分や分量などの基準が定められています。
各メーカーは基準の成分の他に、それぞれの技術開発の結果として、母乳を参考にしたさまざまな必要成分を配合しています。安心して赤ちゃんに、与えることのできる優れものなのです。
粉ミルクの選び方
赤ちゃんが毎日飲む粉ミルクは、赤ちゃん1人1人に応じたものを用意しなければなりません。特に、新生児の赤ちゃんにとっては唯一の栄養源です。
さらに、直接口にするものですので、慎重に選びたいものです。数ある粉ミルクの中でも、赤ちゃんに合うかどうかを選ぶ際の基準となるものは、
・赤ちゃんに合ったミルクかどうか
・赤ちゃんのアレルギーの有無
・配合されている成分
・使い切れる量のものであるかどうか
です。赤ちゃんによっては、メーカーが異なると飲まないこともあります。好みや体質に応じたミルクを選びましょう。
また、乳製品にアレルギー反応を示す場合には、アレルギー対応の粉ミルクが必要です。
粉ミルクには使用期限がありますので、期限内に使い切れる量の物を選びましょう。
赤ちゃんのミルクの適量とは
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赤ちゃんがぐずったり泣きだした時には、おむつを交換したり、ミルクをあげたりすることがありますが、赤ちゃんが1日に飲んでも良いミルクの適量は、月齢や体重によって大まかに定められています。
粉ミルクの授乳では、実際に飲んだ量もわかりやすくなりますので、必要な量を適宜飲ませるようにしましょう。
赤ちゃんはどのくらいの量のミルクが必要?
赤ちゃんに飲ませるミルクの量は、月齢や体重によって異なりますが、各メーカーから販売されている粉ミルクの缶やパッケージには、赤ちゃんへの適量の表示が記されていますので、必ず確認した上で調乳しましょう。
赤ちゃんは消化の機能も未発達ですので、自己判断でミルクを濃くしたり薄くしたりすることなく、しっかりと必要量を守りましょう。
泣き止まない赤ちゃんに、時間ごとの授乳以外にミルクを飲ませてしまうこともありますが、過剰な量を飲ませてしまうと、1日の必要量を超えてしまうこともありますので、注意が必要です。
赤ちゃんの月齢に応じた、標準的な粉ミルクの必要量を見てみましょう。ただし、未熟児として体も小さく生まれた赤ちゃんなどの場合には、必要量も異なってきますので、かかりつけの産婦人科や小児科の指示に従いましょう。
生後間もない新生児
生まれて間もない新生児の赤ちゃんは、本当に体も小さく、ミルクの量も少量となります。基本的には、生後7日までの新生児の場合には、「産まれてからの日数×10ml+10ml」が必要量だとされています。
つまり、1日10mlずつミルクの量が増えていくわけです。新生児の赤ちゃんは、消化のことを考慮に入れて3時間ごとに、1日7~8回の授乳が必要になっています。
・ 生後0日、1日目
3時間おきに、20mlずつ合計8回授乳します。1日の目安は160mlです。
・ 生後2日目
3時間おきに、30mlずつ合計8回授乳します。1日の目安は240mlです。
・ 生後3日目
3時間おきに、40mlずつ合計8回授乳します。1日の目安は320mlです。
・ 生後7日目
3時間おきに、80mlずつ合計7回授乳します。1日の目安は560mlです。
生後1週間~半月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約3.0㎏になります。授乳は3時間おきに、80mlずつ合計7回、1日の目安は560mlです。
生後半月~1か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約3.8㎏になります。授乳は3時間おきに、100mlずつ合計7回、1日の目安は700mlです。
「きっちりと1回にこれだけ飲ませないと!」と頑張らず、1日でだいたいこれくらいと目安にしましょう。頑張りすぎるとママも赤ちゃんも疲れてしまうので気を付けましょう。
乳幼児健診(主に出産した医療機関での1か月健診)がありますので必ず受診し、成長の様子などを診てもらいましょう。
生後1か月~2か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約4.8㎏になります。授乳は3時間おきに、140mlずつ合計6回、1日の目安は840mlです。
この頃から少し夜の間隔が長くなるように、寝る1回前のミルクの量を少し減らすといいでしょう。
そして、しっかり泣いてから寝る前に飲ませると、ちょっと時間があいてきます。
生後2か月~3か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約5.8㎏になります。授乳は3時間おきに、140~160mlずつ合計6回、1日の目安は840~960mlです。
赤ちゃんの吸う力も強くなり、自発的に飲めるようになってきます。飲む量が減ったと感じることもありますが、期間を通しての体重の増加が見られれば問題がありません。
生後3か月~4か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約6.5㎏になります。授乳は4時間おきに、180~220mlずつ合計5回、1日の目安は900~1,100mlです。
乳幼児健診(3か月健診)がありますので必ず受診し、成長の様子などを診てもらいましょう。
生後4か月~5か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約7.1㎏になります。授乳は4時間おきに、200~220mlずつ合計5回、1日の目安は1,000~1,100mlです。
生後5か月~6か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約7.5㎏になります。授乳は4時間おきに、200~220mlずつ合計5回、1日の目安は1,000~1,100mlです。
赤ちゃんはもともとの大きさやその時の体調や便の調子によってもミルクの量は変動します。なので成長しているから「どんどん増やさなきゃ」とか「絶対これだけは飲まなきゃ」というのはありません。量が減ることもあります。少し立ち止まったり、元の戻ったりしながら赤ちゃんは成長していきます。ママもゆっくり一緒に行ったり来たりしながら成長してきましょう。
生後6か月~9か月の赤ちゃん
この頃になると、徐々に離乳食も始まります。離乳食の進み具合では、ミルクの量の調整も必要になります。標準的な体重の増加は約7.9~8.4㎏になります。授乳は4時間おきに、200~220mlずつ合計5回、1日の目安は1,000~1,100mlです。
乳幼児健診(6か月健診)がありますので、必ず受診し成長の様子などを診てもらいましょう。
生後9か月~12か月の赤ちゃん
この頃になると、標準的な体重の増加は約8.6~9.0㎏になります。授乳は4時間おきに、200~220mlずつ合計5回、1日の目安は1,000~1,100mlです。
乳幼児健診(10か月健診)がありますので、必ず受診し成長の様子などを診てもらいましょう。離乳食の進み具合によっては、フォローアップミルクを使用します。
フォローアップミルクは、栄養補助食として上手に活用しましょう。逆に、離乳食よっては栄養の偏りも心配されますので、通常のミルクを継続して飲むこともおすすめです。
調乳の注意点
乳児期の赤ちゃんは、まだまだ抵抗力も弱く、消化能力も発達段階ですので、調乳の際には、手洗いをしっかり行なうことはもちろんのこと、使用する哺乳瓶や器具も清潔にしておくことが大切です。
粉ミルクの作り方
粉ミルクを作る時には、いくつかの注意点があります。“清潔”と“正確な計量”が大切な要素になりますので、気をつけましょう。
①ミルクを作る前は、手をしっかりと石鹸で洗い、哺乳瓶など使用する器具は消毒した清潔なものを使用します。また、調乳する場所も、できるだけきれいな場所を選んで行いましょう。
②ミルク缶に付属の専用スプーンを使用して、記載されている容量をきちんと量ります。(計量の際には、専用のスプーンにすり切りで量る)
③消毒をした清潔な哺乳瓶に、必要量の粉ミルクと一度煮沸し、70℃以上の温度があるお湯を、必要量の2/3から1/2程度注ぎ、乳首とフードをかぶせて軽く振り溶かします。その後、必要量までさらにお湯を足します。
④再度哺乳瓶のふたを閉め、瓶の上から流水をかけるか、または、冷水の入った容器で、軽く振りながら適温(体温程度~40℃位まで)になるまで冷ましましょう。
お湯の温度は、2007年に改正された国際的なガイドラインにより、煮沸したもので、70度以上が好ましいと定められています。哺乳瓶自体も大変熱くなる恐れがありますので、やけどには十分注意しましょう。
ミルクを飲ませる時の注意点
赤ちゃんにミルクを飲ませる時にも、いくつかの注意点があります。赤ちゃんの健康を損ねることなく、安全に与えられるように気を付けましょう。
ミルクの温度に気を付けて
調乳したてのミルクは、いくら哺乳瓶の外側が冷めたように感じても、中身が熱いこともあります。
赤ちゃんに授乳する前には、ミルクを大人の手首に数滴落とし、赤ちゃんが飲むのに適した温度であるかを、確かめた後に与えてあげましょう。
その都度その都度、調乳するようにしましょう
ミルクは栄養価が高い分、雑菌も繁殖しやすいので、赤ちゃんに与えるミルクは、作り置きをしたり、飲み残したミルクを混ぜたりせずに、飲ませるたび度ごとに新しいミルクに作り替えましょう。
授乳後の哺乳瓶の注意点
授乳の哺乳瓶は、次回すぐに使用できるようにきれいに洗って消毒します。哺乳瓶などの器具を食器洗い洗剤で洗浄した後は、きちんと洗浄成分を洗い流し、その後必ず消毒を行ないます。
器具の消毒には、大きく分けて3つの方法があります。それぞれの方法を見てみましょう。
煮沸消毒
器具を煮沸消毒する際には、哺乳瓶などの器具がすっぽり入るくらいの大きさの鍋を用意します。
鍋に器具を入れ、全体が十分に隠れる位のたっぷりの水を入れ、沸騰させます。
沸騰後約3分程度の煮沸を行ないます。
鍋から器具を取り出し、自然乾燥させます。その際に、器具は大変熱くなっていますので、取り出す際にはやけどに十分気を付け、専用のトングなどを使用するのがおススメです。
トングも清潔なものを使用しましょう。
また、布巾などで水分を拭いてしまうと、雑菌がついてしまう危険もありますので、自然乾燥させるのがおすすめです。
薬液消毒
哺乳瓶専用の消毒薬を使用する消毒方法です。
大きめの容器に消毒薬を規定通りに薄め、その中に所定の時間器具を浸して消毒します。
次回使用するまで、希釈液の中に入れたままにするものもありますので、使用上の注意をよく読んで使用しましょう。
電子レンジでの消毒
哺乳瓶専用の消毒用ケースに、哺乳瓶や乳首、その他の用具などと共に、必要量の水を入れて電子レンジで規定の時間加熱して、消毒するものです。
粉ミルクにもメリットはたくさん
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赤ちゃんを育てるためには、何よりもママの母乳で育てるに越したことはありませんが、粉ミルクの育児にも、たくさんの利点があります。
粉ミルクを使用することで、赤ちゃんが飲んだミルクの量が正確に分かります。さらに外出先でも、誰であっても、赤ちゃんに安心して授乳することが可能です。
また、育児になかなか参加できないパパも、気楽に授乳できます。そして何よりも、母乳が不足しているママにとっては、心強い味方になってくれます。
粉ミルクには注意も必要
粉ミルクは、免疫力の弱い赤ちゃんが口にする大切な栄養源です。湿気を吸収しやすいため、開缶や開封後には、湿気の少ない場所に保管し、虫やほこりが入らないように、使用後にはすぐに封をして涼しい場所に保管しましょう。
冷蔵庫や冷凍庫内に保管すると逆に湿気を含みやすく、製品が劣化するので、必ず常温保管しましょう。
また、使用するスプーンも清潔で乾いたものを使用するように心掛けましょう。
ミルクの量は足りてる?
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毎日授乳をしていると、赤ちゃんのミルクが足りているのかどうか、心配になる時があります。母乳育児とは異なり、粉ミルクの場合には赤ちゃんが飲んだ量も一目瞭然ですので、比較的分かりやすいです。
1回の量に対しては、その時の様子によって沢山飲む時と残してしまう時など、1日の中でも変化はあります。心配な場合には、飲んだ量をしばらくの間記録しておくと参考になります。
赤ちゃんの機嫌が良く、体重の増加の問題がない場合には、特に心配はありません。
授乳したばかりでもぐずったり、排便の回数が少なかったり、体重が思うように増加しない場合には、ミルクの量が足りないのかもしれません。
母子手帳の成長記録と照らし合わせたり、乳幼児健診の際に、専門の医師や保健婦に相談してみましょう。赤ちゃんの成長は個人差が大きいです。
毎日のちょっとした変化に一喜一憂せずに、長い目で見てゆったりとした心構えで見守ってあげましょう。